こころをひろいあげて

私は彼を見つけて、彼の名を呼んだ


「椎名くん!」


多分初めてかな……彼を呼ぶのは……。

彼が人混みの中からこっちを向いた

「あ、夜野さん!」

彼の手が見えた、大きくて男らしい手が。


「どうしたの?」


心臓が高鳴った、自分の鼓動が彼に聞こえてしまいそうなくらい


「あのね…放課後彼女さんと帰る?」


「……ううん、今日は先輩休んでるから1人だよ」


「じゃあね、一緒に帰らない!?」


つい大きな声で言ってしまった。


「……そうだね……」


彼は……