でも逢坂は何も知らない。 あたしがどんな想いで駿を好きでいるかも。 あたしがどれだけ駿に救われてきたかも。 あたしの葛藤している気持ちだって。 知らないから、簡単に言わないで欲しかったから。 顔を上げていないから分からないけど、逢坂は何も言わず、黙ったままだ。 「…いいから放っておいて、逢坂には関係ない」 あたしは俯いたまま、そう言い放った。 その視界に映り込むのは、床に落ちたままのレモンティー。 もう拾う理由なんてなくて。