脳は、ゆっくりこの状況を理解し始める。 笑顔は枯れたように消えて、あたしの目に浮かび上がってくるのは笑顔とは反対の何かで。 嘘だと思い込む力が、徐々に失われていく。 そして。 ――ピコン。 スマートフォンから鳴った、メッセージの通知音。 右手に持っていたレモンティーを机に置き、その震える右手でメッセージを確認する。 【凛夏ごめんね、用事入っちゃった】 送信者には、楠森駿と表示されていた。