「ハイハイそーですか」
逢坂はコーヒーを飲みながら、あたしにテキトーに返事をした。
あたしはなんとなく、逢坂の横顔を見る。
鋭いと思っていた瞳だけど、こうやって見てみると意外にもまつげが長くて、優しい瞳をしている気がする。
コーヒーを持つ指先は長く華奢で、カーディガンの裾によって第二関節のあたりまでが隠れていた。
って、こんな問題児に構っている暇はあたしにはない。
「駿が待ってるから行きます、さよならっ」
あたしは両手のレモンティーに心と身体を温められながら、駿の待っている教室へと向かった。
「やっぱりアイツか…」
そう聞こえたような気がしたけど、あたしは無視して歩き続けた。

