逢坂はポケットに手を入れたまま。 「泣いてるんじゃねぇかって思って」 それだけ言って、あたしを見つめた。 いつもこうだ。 こんなに軽い男のくせに、瞳はいつも真剣で。 あたしの心の中が、読み取られているみたい。 「…余計なお世話っ」 逢坂はあたしから目を離さないから先にあたしが目を離して、そのまま歩き出した。 「おい待てよ」 校舎を出たあたしのあとを、逢坂も続いて出てくる。