彼にはそんな見た目からは想像できない、本当の顔がある。


彼は一旦スマートフォンから目を離して、机の上に置いてあった缶ジュースを一気に飲み干した。


「これ美味しいね」


彼はそれだけ言って、空っぽになったジュースの缶をまた机に置き直す。


そして何事も無かったかのように、またスマートフォンと向き合った。


さっきからあたしの言葉に素直に返事をするのは、彼に届くメッセージのピコン…という通知音だけ。


部屋の中は暖かくて、窓の外では雪が降っているなんてとても思えない。


だけどあたしの心は、今日も雪のように冷たかった。