「凛夏~、私のでよかったらあげるよ」 あたしの背後から高い声がして、あたしは振り返る。 そこには箸に卵焼きを挟んだ未亜がいて、あたしを見上げていた。 「わ~!ありがと未亜」 嬉しくなって、座っている未亜に合わせてあたしもまた席に座った。 こうやって未亜はいつもあたしと逢坂の邪魔はしないのに、会話にさりげなく参加はしてくれるから、その気遣いが本当に一番嬉しい。 「はい、あーん」 未亜はふざけて、笑う。 あたしは口を近づけて、その箸から卵焼きを食べようとしたときだった。