「おい聞いてんのか泥棒」 「お返ししますっ!!!」 あたしは鞄からマフラーを取り出すと、あたしを泥棒呼ばわりした逢坂の胸に、それを乱暴に押し付けた。 「ってぇな…お前はそれでも女か」 逢坂はそのマフラーを受け取る。 こんな風にさりげなく会話できること、ちょっと嬉しいかな。 あたしが思った、そのときだった。 ――あ。 未亜に嫌がらせをしてくる、例の“性格悪い女子2人”が、うるさく騒ぐように笑いながら入口の方から歩いて来るのが見えた。 そしてあたしと目が合う。