逢坂に返し忘れてた…。


そういえばあたしはそのマフラーに温められて、ここまで帰ってきたんだっけ。


逢坂っていいやつ…なのかな、やっぱり。


あたしはそのマフラーをしばらく見つめる。


逢坂はあたしに浮気を誘ってきて、最初は正直引いたけど。


やっぱりそれはただの興味だけじゃなかったし。


逢坂のあの目は必死に何かを伝えようとしていた。


…もう少し逢坂のこと、信用してもいいのかな。


あたしはマフラーを綺麗に折りたたんで鞄に入れると、準備をしてから家を出た。