昨日は家に帰ってきてから何もせずにただ着替えて、そのまま眠ってしまおうとベッドにダイブした。


だけど結果、睡眠時間はゼロ。


眠って忘れることなんてできなかったあたしは、ただあくびをしながら着替え続けた。


例え眠れていたとしても、忘れられるはずなんてないんだけど。


「あ」


スカートに脚を通しているあたしの視界に飛び込んできたのは、深い赤色のあのマフラー。


制服の近くにただ投げ捨てたままのようになっているそのマフラーを、あたしはスカートを履き終わってから優しく拾い上げた。