自動販売機の前で、どれを買おうか悩んでいるんだって、分かった。


後ろ姿だけだから、正確ではなかったけど。


髪色と制服の着こなし、その雰囲気が。


楠森とのプリクラに写っていた“凛夏”ってやつにすごく似ていて。


まさかと思って、俺は近寄る。


そして顔を見た俺は、確信した。


“駿が待ってるから行きます、さよならっ”。


そいつがそれだけ言って去っていったとき、思わず俺はその背中を追いかけていた。


何故なら窓の外に。


――今ちょうど校門を出ていく、楠森の姿が見えたからだった。