「…俺は別に彼女にしたいとかはねぇし」 楠森の慌てた態度は、その言葉でピタリと止まった。 「…え…」 俺を見たまま、固まる。 「しかも東条が俺を好きになるわけなんてねぇしな」 フェンスに預けていた背中を、起こす。 「お前が東条のこと、本気で好きなら応援してやるよ」 そう言って、ポケットに手を入れたまま楠森に笑いかけた。 はじめて、人の前で笑ったかもしれない。