「聞いてる、ちゃんと聞いてるよ?」


また、始まった。


彼は片手でスマートフォンを操作しながら、何が可笑しいんだと言わんばかりにあたしを雑に扱う。


真っ黒でサラサラとした彼の髪の毛は、ワックスもヘアアイロンも未使用の正真正銘のノーセット。


ネクタイをきっちりと締め、胸元は第一ボタンしか開けていない“真面目で優等生”な制服の着こなし。


見た目は本当にさわやかで、大人からも好印象を受けるほどの好青年。


学校では、キラキラの素敵な王子様。



でも。