「そ、そんなことないですぅ!」
「いやいや...完全に染まっちゃってるよ」
うわぁ...とドン引きしているような
ジェスチャーを加えているのを見て
あたしは更に笑った。
平日だからかお店は暇で、
自然とあたしの恋愛の話になっていた。
この2人には前の彼氏ができた時から
何かと話を聞いてもらっていた。
だけど、今回はバイトの人のことだし
さすがに言えない
というか知られたくない。
そんなあたしの思いは届かず、
わかりやすいあたしの反応を見て
ズバリ言い当てていく竹村さん。
さすがに彼女持ちの野澤の話は
できないと思い、
佐野さんのことだけならと話してしまった。
「えー?!佐野なの?」
「...竹村さんが言ったんじゃないですかぁ」
「いやーそうだけどさ
まさか本当にそうとは!」
「でもあれっすよねー、佐野って
結構バイトの子に惚れられますよね」
「バイトリーダーってのもあって
かっこよく見えるんすかね?」
