「そう、です」
「あはっ、やっほー。おはよう。えっ、もしかしてしーなになんか言われた?」
え、なんでそこで椎名くん?
「武内さんと、結構話したがってる子いるんじゃないかって言っただけ。クミがとは言ってない」
「それ今言ってんじゃん!」
この薄情者、と言いながらあたしのところへと歩いてきたクミちゃん。
わー、あたしと話したがってる子ってクミちゃんだったのかな。そうだとしたら、うれしいな。
「武内ちゃんって名前なんだっけ。たしか、杏子(きょうこ)だよね? 杏子がすっごい無表情なの面白くてずっと気になってたんだけどさー、あたしみたいなのバカにされそうって話しかけづらかったんだよねー」
椎名くんといい、クミちゃんといい思っていなくてることをポンポン言う人ばっかりだな。
しかもいきなり名前呼び捨てってすごい。こんな感じで良かったのかって、ちょっとびっくりだ。
高校生だからって、ちょっとがんばろうとし過ぎてたかも。



