「まぁまぁ、お二人さん
慣用句ぐらい
どうでもいいじゃないの。
准はともかく猫ちゃんは
ここが少し弱いだけなんですから」

そう言って、倖は

自分の頭を、軽く二回小突いて見せた。

「弱い所じゃなくて
ホントは、頭も
猫チャン並みのようですわね」

ボソッと呟く倖の声を

聞き逃さないで

セイラは、食い掛かっていく。

「お前だって
ウサギの皮を被っている
だけなんだよな!
その皮の下に
どんな化け物を
隠しているんだ !」

「あら、お耳も猫チャン並み。
その役の通りね、チェシャネコちゃん」


熱いセイラとは違い、あくまで

倖は冷静に、かつセイラを

意味もなく挑発している。

「ははは、君たち
やっぱかわってないなぁ。
ゲームの時だって、
そんな感じだったじゃん」

童顔の男が笑いながら

2人の真逆の戦いを見ている。