そして、1人を除いて

彼女の言葉の意味を

理解できた人間はいないだろう。

だが、奇妙な行動をしやすい

“白ウサギ”は

さっそく自分の知識を披露し始める。

「“mad as a march hare”
のコトだね。
君が言いたいのは
それでこのいみは・・・」

倖は軽く微笑む。

「なんだ、マッドアズ・・・
何とかって」

セイラが倖に聴く。

准は軽くスルーされた

哀しみで、いじけ始めるが

やはり、相手にされないのであった。

「“mad as a march hare”ですよ
チェシャネコさん。
英語の慣用句で
『三月のウサギのように
気が狂っている』
って言うことなんです。
これが、擬人化したのが
ルイス・キャロル原作の
『不思議の国のアリス』
で出てくる
“三月ウサギ”なんですよ」

「三月のウサギはなんで
気が狂っているのだ?
オールシーズンで
同じではないのか?」

「ふふふふ。
三月のウサギは
人間で言う中学生なのですよ」

倖の言葉を、セイラは

深く理解はしていないだろう。