「こないだここにいたときもそうだったの。お弁当の中身捨てて。そんなに嫌なのかなぁ」
るりは振り返る。その手には空っぽの薄紫色のお弁当箱。閉じられたその箱の中身はもう何もない。るりは自分に注がれる視線には気にもとめることなく、自分の荷物の置いてある丸テーブルへと歩く。テーブルの上には、ピンクのちょうちょ柄のハンカチと、売店で買ったのであろうおにぎりと野菜ジュースが無造作に置かれていた。るりは座って、ハンカチで空の弁当箱を包んだ。
「……親と仲悪いのかな」
「いろいろあるんじゃない?でももったいないよね。大学生なんて自分で作る子だっているのにさ。作ってもらって捨てるのって申し訳なくないのかな」
「うーん……うちらが勝手にどうこう言えるものでもないだろけどねぇ……」
その時。チャイムが鳴った。昼休み開始の合図である。だんだんここも騒がしくなってくるだろう。るりがおにぎりのフィルムを取ろうとしたとき、ふと声をかけられた。
「いたいた。ここおったん?」
ゆるくだぼっとした服装。るりのフェミニンな格好とは違うカジュアルチックな女の子が近づいてきた。彼女は名はみお。ショートな髪型といい、少し細目なところといい、若干雰囲気が皐月に似ている。みおはるりの向かい側に座った。
「あとでなるみんも来るよ」
「……井彩は?」
「いや……たぶんこないね」
みおは苦笑いを浮かべる。るりは隣のいすに置いていた自分のかばんに弁当箱を急いで入れ、自分の腰の後ろに置いた。るりの手にあるおにぎりと、テーブルに置かれた野菜ジュースはなんだか質素だ。
「弁当食べた後におにぎりも食べるの?」
「いや……今日はお弁当の気分じゃなくて……」
「ふーん……」
「最近太っちゃったから」
「じゃあお弁当は?どうすんの?」
「……あ、なるみん」
るりは振り返る。その手には空っぽの薄紫色のお弁当箱。閉じられたその箱の中身はもう何もない。るりは自分に注がれる視線には気にもとめることなく、自分の荷物の置いてある丸テーブルへと歩く。テーブルの上には、ピンクのちょうちょ柄のハンカチと、売店で買ったのであろうおにぎりと野菜ジュースが無造作に置かれていた。るりは座って、ハンカチで空の弁当箱を包んだ。
「……親と仲悪いのかな」
「いろいろあるんじゃない?でももったいないよね。大学生なんて自分で作る子だっているのにさ。作ってもらって捨てるのって申し訳なくないのかな」
「うーん……うちらが勝手にどうこう言えるものでもないだろけどねぇ……」
その時。チャイムが鳴った。昼休み開始の合図である。だんだんここも騒がしくなってくるだろう。るりがおにぎりのフィルムを取ろうとしたとき、ふと声をかけられた。
「いたいた。ここおったん?」
ゆるくだぼっとした服装。るりのフェミニンな格好とは違うカジュアルチックな女の子が近づいてきた。彼女は名はみお。ショートな髪型といい、少し細目なところといい、若干雰囲気が皐月に似ている。みおはるりの向かい側に座った。
「あとでなるみんも来るよ」
「……井彩は?」
「いや……たぶんこないね」
みおは苦笑いを浮かべる。るりは隣のいすに置いていた自分のかばんに弁当箱を急いで入れ、自分の腰の後ろに置いた。るりの手にあるおにぎりと、テーブルに置かれた野菜ジュースはなんだか質素だ。
「弁当食べた後におにぎりも食べるの?」
「いや……今日はお弁当の気分じゃなくて……」
「ふーん……」
「最近太っちゃったから」
「じゃあお弁当は?どうすんの?」
「……あ、なるみん」
