「二十一だよ」


「結婚してるの?」




「してないよ。でも恋人はいる」




「ふぅん……どんな人?」




少女は真面目な目をしていた。少女の質問に、少しだけ答えに悩む皐月。




「難しい質問だなぁ」




「え……?」




少女はきょとんとした顔になった。少女としては格段難しい質問をしたつもりもなければ、難しい答えも求めていなかったのである。皐月は少し考えて口を開いた。




「……魅力的な人だよ。この上なくね」




「そんなに美人なの?」




いや、と大人気なく鼻息を荒くして力強く説明する。るりのことになると誰が相手だろうと関係ないのかこの男は。




「魅力的っていうのは、美人ってことだけには限らないんだよ。話し方とか雰囲気とか。もちろん知識もそれなりにないと。あと女性としてのセンス?これも大事。料理とかお掃除、まぁ完璧すぎるのはだめだけど、それなりにやってくれる女性じゃないと。誰もが尊敬して、男皆が欲しがる女性ってそういな」




「結婚は?しないの?」




皐月の話が長くなりそうだと察したのか、少女は皐月の溢れんばかりの話をさえぎった。


 恋人と一緒に住んでいると。時たまこういうことを聞かれる。一緒に住んでいるからには結婚することが大前提であると言わんばかりに。別に、彼は結婚を考えていないわけではない。彼女の今の状況を考えたときに、結婚には適さない状況だと誰でも理解できるはずだ。学生結婚は思いのほかエネルギーがいるものなのだ。それに皐月は、るりにベタ惚れ状態であったとはいえ、今すぐ結婚する!と意気込むほど、脳内お花畑状態ではなかった。


 少女は、質問の返答を諦めた。しかし答えは皐月の顔に書いてあったらしい。