女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~



「うるさいわね。野郎が細かいこと気にするんじゃないの。それよりご飯!ご飯!」

 最後には彼を苦笑とため息で諦めさせて、私は素敵で大量の朝食をゲットすることに成功した。

 二人でガツガツ食べる。6日間の家出と昨日の激しい仲直りで、更に絆が深まったかどうかは知らない。だけど間違いなく、私達は恋人で、夫婦で、パートナーで、戦友に戻った。

 ご飯を食べながら彼に私の家出中に何を考えていたのかを聞いたのだ。すると、二人は同じ目的に向かったことが判ったのだった。

 つまり、私への嫌がらせの犯人を突き止めること。

 前提が、玉置桜子(っていうんだって、下の名前)が犯人だ、ということで。

 私はフォークを顔の前で振り回して聞く。

「一体何があって、あなたはあの女を庇うわけ?」

 桑谷さんはコーヒーを飲み干して、椅子にもたれかかった。彼が壊した一客の椅子はやつの個人資金から買い換えることで許した私だ。

「――――――・・・出来るだけ、玉置を君から遠ざけておきたかったんだ」

「はい?」

「結構やっかいな女なんだ、彼女は」

 そんなこと判ってるわよ。心の中で突っ込む。やっかいな上にバカな女だってことは、何回も何回も確認したことだ。

「前の百貨店で何があったの?ねえ、それに知ってる?彼女はロッカーで、桑谷君はキスが上手よね、て私に言ったのよ」

 彼は口をあけて固まった。

 そういえば、彼女に売られた喧嘩の内容を彼には言ってなかった。