「それは大丈夫だと思う。古い家で、風通しは抜群なので。そうだ、そろそろお母さんもちゃんと招待しなきゃね」
私は手をのばしてお母さんの手を握った。そして続ける。
「実は私、元々偏頭痛持ちですけど、ここ何年もなかったのに、何故か最近またぶり返してきたんです」
もう~、何でだろ~・・と手を引っ込めて頭を押さえる私を見て、お母さんが少し止まった。
「ん?」
「・・・まりさん、ずっと無かった持病が出てきたってこと?」
「はい、そうですね」
「それって・・・」
お母さんは両手を固く握り締めて、彼に良く似た形の瞳を見開いている。
「はい?何ですか?」
しばらく言い出せずに止まったままだったけど、お母さんは小さな声でやっと言った。
「・・・それ、妊娠かもしれないわよ」
―――――――へ?
私は目を丸くする。
お母さんはキラキラの瞳で両手を握り合わせて私を見ている。
「・・・悪阻ってことですか?だって、あれって気持ち悪くなったりするんでは?」
お母さんは首を振る。
「一般的にそういわれているけど、人によるのよ。大体はその人の弱いところに現れるわ。ずっと無かった持病が復活するのは、妊娠初期にはよくあることよ」
・・・マジで!?
私は一瞬パニくった。



