自分の実家にも初めて母の日のプレゼントなるものを送っておいた。ちゃんと竹中さんのアドバイスに従って、彼の名前で。それが大事らしい。
だけど目の前でこんな風に喜ばれると、やっぱり嬉しい。うーん、いいことをした!私はテンションがアップして、更に大きく笑った。
「お茶しましょう。お菓子もあるんですよ」
うふふと頷いて、お母さんは花束を大事そうに抱え、店のドアのプレートを『休憩中』に変えた。
そして奥の小部屋に入る。
お母さんは一軒家の一階を改造してお店と休憩室にし、二階で生活をしている。
二人できゃあきゃあいいながら数ある紅茶から選んで本日のブレンドティーを作り、楽しく飲んだ。
最近起こったこと、桑谷さんの移動話、新しい制服であるジャージやポロシャツがやたらと似合うこと、自分の店の話、お母さんの友達や仕事の話などを笑いながら話す。
この義理の母とのお茶の機会は、普段自分の両親とも離れている私にとっても大事な時間だった。
やっぱり、親は親だ、と強く思うのだ。
言葉の節々に息子である彰人の心配をする気配や愛情が感じられる。うちの両親もきっとこんな風に私のことを人に話すのだろうな、と思う。
お母さんは興奮して上気した顔で、それで、と続けた。
「まりさんは元気なのね?新しい家でのストレスや疲れはない?」
私はお茶を一口飲んで、チョコレートを口に入れる。
「・・・うーん。新しい家は本当に気に入ってます。だけど、ストレスだか疲れだか、最近は頭痛が酷くて」
私の言葉に表情を曇らせて、お母さんは言った。
「まあ・・・シックハウスとか、そういうのかしら」



