「お疲れさん。・・・何で笑ってんだ?」

「きっと待ってると思ってたの。そしたら、本当に居たから」

「判ってると思ってた。どうだった、最後は?」

 私は彼を見上げてにっこりと笑う。

「楽しかった」

 説明してあげた。この子の性別で皆お金賭けてるんだって!と。彼は苦笑して、デパ地下は暇人の集まりだ、と簡単に言い切った。

 私はふとその気になって、聞いてみた。

「ねえ、あなたはどっちがいい?あえて言えば、だけど。男と女」

 私をちらりと見て、彼はしばらく考えていた。うーん・・・と唸る。

「――――――・・・君の外見で、中身は俺の女の子」

 うん?私は眉を寄せる。

「どうして?シンプルに私に似た女の子、でなくて?」

「・・・君みたいなのがもう一人いたら俺が大変だ」

 憮然とする。何だその言われようは。だから言い返してやった。

「あなたみたいに短気で頑固な女の子は大変よ」

「君みたいに無鉄砲でハチャメチャな男の子はもっと大変だ」

 うううー・・・とお互いに唸る。

 まあいっか。どっちに似ても、無茶苦茶なのはあまり変わらないし。そう言って、最後には笑っていた。

 真夏の夜で、明るい都会でも小さく光る星は見える。それを数えながら家に帰った。

 二人で、同じ家に帰った。