「・・・はあ」

「そしたらあいつは何て言ったと思う?知るかそんなこと、て言い放ったあとに、もし君から連絡があれば、俺なんか捨ててやれと忠告するとかほざいた」

 あははははは!それって滝本さんっぽい。

 私が笑うと、彼はふん、と不機嫌そうに唸った。

 この二人の男の関係は複雑だ。元パートナーで、一緒に会社をやるくらいなんだから仲がいいのかと思えば、お互いに相手を罵りまくっている。まあだけど、一番信頼しているのは確かだろう。まだ連絡を保っていることを考えても。

 しかもこの前、滝本さんが経営する調査事務所は新聞や週刊誌やテレビで名前が沢山出たのだ。大物の不倫騒動か何かの調査を請負、それが成功したとかで。

 その忙しい最中に電話したから、余計に冷たかったに違いない、と桑谷さんは言っていたけど、私は滝本さんはいつもあんなんだと思う。


 私たちは平和的に一緒に眠った。

 怪我してるっぽいから、当分アレはお預けね、と言うと、彼は情けない顔で、はい、と頷いた。

「・・・明日出勤か?」

「そう。早番で」

「俺も。嫌がらせの犯人を探らなきゃならない。明日は総務に行って何か判るかやってみるよ。そして、出来るだけ玉置から目を離さないようにする」

 私はにっこり微笑んだ。

「期待してます、宜しく」

 これで、もう大丈夫。体の奥から、力が沸いてくるのを感じながら、眠りについた。