「・・・何てことを。君が怒ったのも無理ないな」
「いえ、それには私もちゃんと言い返したから全然いいんだけど。それより――――」
「何て返したんだ?」
「あ?」
彼が遮った。嫌そうな顔で私を見ている。
「恐ろしいけど聞いとこう。その時、玉置に君は何て返したんだ?」
私は手をヒラヒラと振った。
「・・・ああ。えーっと、彼が上手なのは、キスよりもその後の方、て言ったと思う」
彼はまた口を開けて固まる。
「そしてその後、現在男日照りかもしれない人に夜の生活の自慢してすみませんって見下ろして笑ってやったの」
「―――――――」
私はおーいと手を伸ばして彼の肩を叩く。目を見開いて固まっていた夫は、そこでやっと呼吸を開始した。
「・・・・何てこと言うんだ、君は」
「褒められると照れるんだけど」
「褒めてねえだろ!」
彼は大声で私に叫んでから、長いため息をついて額を片手で叩いた。
「・・・そりゃ、その嫌がらせが玉置だと思うわけだよな・・・。喧嘩の売り買いの内容聞けば、ハッキリわかる事だ。どうしてそう面倒なことに自分から首を突っ込むんだ、君は!」
あーあ・・・と言って、彼はがっくり肩を落としている。



