後ろには、赤髪の男が居て

その横には高級感溢れる
ドレスを身に纏った
この間の女とは違って
上品なお嬢様のような女性。

いや、きっとお嬢様だと思う。

女性の腰を抱いて立っているので
こっちの女性が本命?と思いながら

男に目を向けると
漆黒の瞳が私を見ていた。

思えば、あの日から会っていない。

私が、一方的に避けていた。

よく、注文の電話が来るようになり
私を指名してくる。

ニッシーに頼んで、避けながら
ここまで来たけど……

声を掛けられたって事は
私が、変装してたことに気づいてるって事?

そんな時、横から

「なんか、面倒くさい。帰ろ」

っと、綾乃が言っているので

軽く会釈をして、横を通り過ぎる。

「かれんさん」

そう言って、後ろから名前を呼ばれた。

きっとこの声は、眼鏡の男

近づいてくる気配を感じて振り向くと

私を隠すように美空と綾乃が立っていた。

「いつもありがとうございます。
今後とも、マリアーヌをよろしくお願い致します。
本日は、プライベートですので
失礼します。」

営業スマイルを浮かべて
丁寧に頭をさげる美空につられて
綾乃も実春も私も頭をさげる。

そして、手を引かれながら
私はこの場を離れる。

だから、気づかなかった。

あの男が獲物を狙うような鋭い瞳を
私の背中に送っていた事を



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