「ばかやろぉぉお!」
お気に入りの帽子は今では
邪魔でしかなくて、
イライラMAXの私は
帽子を男に向かって思いっきり投げ
思いっきり睨んでやった。
それなのに、豪速球で投げた
帽子は見事に取られてしまい
男の目に私が映る。
そして、私の目に男が映る。
綺麗な顔をしている。なんて
考えてる場合ではなく、
イケメンでも私の怒りは収まらない。
「殺されそうって言うのに
近づいて来て、バカですか?
私、私、死ぬ‥‥死ぬかと‥‥」
今更、涙が出てくる。
だってめちゃくちゃ怖かったもん
その場にしゃがんで泣いた。
恥ずかしい。知らない人の前で
大泣きするなんて。
