「……
私も、彼らのようにもっと
強かったら…何か変わってたのかな?って」

思わずでてしまった本音
気づいた時には遅し、小さく呟いた
私の声はしっかりニッシーに届いたらしい

すぐに、誤魔化そうとしたけど
何をどう言っていいのか言葉が見当たらない

「あ、そろそろ。帰らないと
明日学校行きたいからさ!」

ちょうど、車のキーを持って
降りてきたユウちゃんにも
聞こえるように大きな声で言う。

何か言いたそうなニッシーに
「お疲れ様です」と一声かけると
そのまま、スタッフルームへと急いだ。

中に入り、ドアを閉めると
壁にもたれながら
ズルズルと地面に座る。

「何やってんだ、私」

彼らの強さに触れた時
自分がものすごく弱い人間だと
嫌でも気づかされる。

『与えられたレールの上を歩くだけの
人生なんてつまんねぇだろ。』と言った帝

その言葉が重く私にのしかかる。
つまらない人生何て、そんなの知ってる。

だからこそ、辛くて、苦しくて
弱くて、何も出来ない自分に腹が立つ。

「おい、準備まだか?」

後ろのドアから聞こえるのはユウちゃんの声

…あ、早く準備しなきゃ

ゆっくりと、ロッカーに近づき
制服から私服へと着替えて
急いでスタッフルームの外へ出る。

「ごめん!遅くなった~」

ちゃんと、笑えてるだろうか。
窓ガラスに映った自分の表情を確認する。

…大丈夫。笑えてる。

「ニッシー、また明後日ね~」

ニッシーにもしっかり、挨拶をして
もう車へと向かってるユウちゃんの
後ろを追いかけて歩く。

助手席に座って、シートベルトを
閉め、それを合図に車が発進した。

「今日は、どうだったか?」

「また、聞くの~?
ミルクティー美味しかったって言ったじゃん」

「…そうか。」

それからは、会話はなく

ただただ窓の外の流れる景色を
私はボーッと見つめていた。

………………

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