「お前、いつになったら
学校行くつもり?この不良娘」

「はいはい。
テストの日はちゃんと行きますー。」

いつものように夕方になると
ここにやってくるゆうちゃんと話をする。

これは、もう毎日の事だ。

「勉強大丈夫なのか?」

「心配ご無用!私、天才なので」

そう言ってVサインをして見せると
やれやれと言った表情で奥の部屋へと
消えていく。

これもいつもの事。

「かれん、出来上がったぞ。」

厨房からニッシーの声

「は〜い、いま行きます。」

カウンターへ駆け寄ると
そこには、出前の用ほ大きなトレーに
料理が並べられている。

「気をつけて行くんだぞ」

いつもなら、
どっかに行ってしまうニッシーは
最近お店に居るようになり
こうやって、毎回私の心配をする。

「大丈夫!私、天才だから」

さっきも似たようなセリフを
ゆうちゃんにも言った覚えがある。
ニッシーに向かってVサインをして見せると

「あほか」

そう言って笑いながら
私の頭をクシャクシャに撫でる。

その手つきには優しさがあって
温かさがあって私は好き。


「それでは、行ってきます!」

伝票をトレーのうえに載せて
入り口のドアへと向かい室外へ出る。

あの日…
家に送ってもらったあの日から
私は、目の前の大きなビルに
出前を届ける事になってしまった。

もちろん、進んでやってるわけではない。
半分脅しのようなお願いのせい