でも、浮かんでくるのは
幸せそうに微笑む、女性の姿に
優しくエスコートする帝

その存在を忘れてはダメ。

「私は、誰かのモノに手を出すなんて
そんな事はしないわ。」

「…わかった。今はそれでいい。
だが、俺のそばには居て貰う。」

「意味わかりません。」

助けを求めて、間宮さんを見るが
やはりこの人は帝信者である。

「決定ですね。今度からは
出前は全て藤咲さんが持ってきて下さい。」

私は黙って間宮さんを睨みつける。

「最初は、側にいる事に戸惑う事も
あると思いますが、
徐々に距離を縮めて行きましょうね。」

「お断りします。」

やっぱり、強引な人たち。
少しでも良いと頭をよぎった事を
無かったことにしたいくらい。

早くこの場を去りたい私は
またドアノブ引くと今度はあっさり開いて
外に出ることができた。

もう一度、お礼をを言って頭をさげる。
運転手さんにもしっかりお礼をして
自分の部屋へと急いで歩いた。
部屋に入り、電気をつけて
カーテンの隙間から外を覗くと
まだ車は停車していて
しばらくしてまた外を見ると
そこには車は無かった。

時計に目をやると、もう日付は
変わっていて
そのままベットへ倒れこむ。

今日は何も考えたくなくて
私は着替えもしないまま、目を閉じた。