それに反応して春野君に少しだけ目線を戻してみる。


下から見てるから目つき悪いかも……。


そう思ったけど、春野君は変わらない優しい笑顔で私が答えるのを待ってくれていた。


……こんな人、初めてだ。


自分が話したいこともまともに話せない私をちゃんと待ってくれる人。


だから少しだけ勇気を振り絞って


「私……神崎優愛、です」


やっぱり声は少し小さめになってしまったけど、私にしてみたら大きな一歩だった。


「この距離ならやっぱりちゃんと声聞こえる。

優愛ちゃんよろしくね」


これが私と春野君の初めての出会いになった。


とっても優しくて温かくて甘さいっぱいの出来事がこの先私を待っているなんて、想像もしていない。


私の初恋の始まり。