1925年12月24日
私は、不思議な場所へと訪れていた。

が、実際のところ自分の足で来ていた訳ではない。
気付いたら、ここへと飛ばされていた。

私は、戦争中の日本では忌み嫌われた
在日ソ連人(という設定だが)だった。
そのおかげで人々から毛嫌いされていた。
度重なる嫌がらせとからかい。
それは、私が日本のどこへと逃げても
無駄だと教えてくれたものだった。

そして、第二の理由。
ターニャ・シュタインバッハーという
日本人には聞き慣れない名前。
白人らしい、白い肌とくるくるとした
くせ毛の金髪、碧い瞳。

その全てが日本人とは違っていた。
いつからか私はこう自問自答するようになった。

どうして「貴方」は私に攻撃するのか?
同じ人間じゃないか。
傷つく痛みは分かっている筈だろう。