泣いていた彼女は、急いで服を着て俺の家を飛び出した。
バタンとしまるドアの音が虚しく響く。
彼女の温もりと匂いが残る部屋で、頭を抱える。
……本当は、今すぐにでも追いかけたい。ごめんって謝って力いっぱい抱き締めたい。泣いている彼女を笑顔にしたい。
だけど、出来ない。
彼女には大切な恋人がいる。
俺は、邪魔者なんだ。
「……んでだよ……。」
なんで、俺じゃねぇんだよ。
なんで、そんな辛そうにするんだよ。
無理矢理作った笑顔を浮かべる彼女を思い出して、胸が痛む。
くそ、あいつの所に帰すくらいなら、壊してやればよかったか
なんて、醜い考えが頭を過ぎった。
ねぇ……
どうやったら君は、俺のものになる?