「白ちゃん」

俺はいつもみたいに、スキな子の名前を呼んだ。

その子はいつもみたいに、柔らかい笑顔で振り向いてくれる。

「陽口くん」

陽口 耕介
21歳。
フリーター。

目の前の女の子に
恋をしています。

「偶然だね、こんなとこで会うなんて」

「うん、そうだね。陽口くんは、買い物?」

「ううん、バイト。喫茶店のアルバイト」

「また増やしたの?大丈夫?」

「うん、ちょっと睡眠不足だけど、フリーターだし、頑張らなくちゃ」

「頑張ってね」

いつも彼女は俺の心配をしてくれる。
自分の仕事も大変なのに。

俺のスキな子
真田 麻白
21歳。
グラフィックデザイナーが彼女の仕事。
麻白って名前だから、皆から白って呼ばれてる。

「あたしは買い物だよ。パン屋に行くの。食パン」

「食パン?」

「うん。ちょっと凄く必要なの」

「へぇー?そっか。じゃあ、また今度ね」

「うん。バイバイ」

俺は最愛の彼女と別れ、自転車でバイト先へと向かった。