「さっきのは、結衣の親戚。バレたら面倒なことになるから黙ってるだけ」
急にあたしの前に大きな背中が現れた。
「何、彼女いじめてんのー?」
「…いじめてねーし…。てか、またお前かよ…」
「結衣、困った時は俺を呼べーって言ってんだろー?」
比呂…?!
あたしの心の声が聞こえたみたいに目の前に笑顔の比呂かいる。
「別に俺にはバレても良いだろ…」
「ばーか、周り見てみろよ」
比呂の言葉であたしも周りを見渡すと、いつの間にか人だかりができていた。
しかも、ほとんどが女子。
たぶん…イケメンがきた!っていうのが広まったんだ…。
無駄に顔はいいもんね〜奏多くんは。
「こんなに人がいるから、そんな簡単に言えなかったんだよ」
「…」
晴輝がやっと納得してくれたみたい。
すごいなぁ…比呂。
あんな嘘をぺらぺらと…。笑
彼女になる人は、気をつけないと騙されちゃうよ〜。
…ん?
なんか比呂の隣に女の子がいるのを想像したら…もやもやする…。
まあ、モテるのに彼女いたことなかったから、違和感なだけだよね〜。
あんまり考え過ぎると、熱が出ちゃうのがあたしの性格。
だから、深く考えないようにしようって、いつも気をつけてるんだ。
「晴輝!チャイムなっちゃうよ!」
「あ、忘れてた…」
「いってらっしゃい!」
「……うん。//」
うんって、可愛いなぁ〜。
たぶん、あたしより女子力高いよ。
「お前、焦りすぎ。あれぐらい余裕で返せよな〜」
「だ、だって…かなと晴輝、どっちかを選ぶなんてできないもん…」
「ふーん…」
比呂は鋭いから、多分気づいてる。
あたしと晴輝がまた付き合いだしたこと。
比呂には、しっかり自分の気持ち言っておきたい。
うやむやにしたくない。
「比呂!」
「んー?」
…ゆるい…。
あたしは真剣な話しようとしてるのに〜。
まあ、いつものことか。
「…あたしね、ちゃんと晴輝の事好きだと思う。だから、心配かけてごめんね…?」
「…ちゃんとって何?」
「え?」
「好きって、そんなもんじゃねーよ。結衣」
悔しそうにでも少し笑って、こっちをみる比呂。
なんでそんな顔するの…?
「俺さ〜好きな子いるんだよな」
「え?!」
そうだったの?!
だれ?!
初めて教えてくれた!!
「俺は、そいつのこと、いつ好きになったのか分かんねー」
「…?!」
「どこがいいのかも、よく分かんねーし」
「…それって好きなの…?」
話聞いてる限り、本当に好きなの?!って疑っちゃうんですけど…。
「好きだよ。すげー好き」
ドキッ…。
さっきとは真逆の顔で、愛しそうな顔。
そんな顔するんだ…比呂も…。
「なんか、感じるんだよな〜。俺、こいつのこと好きだーって。相当、キモいけど…」
「……」
「結衣は、山崎のこと好きになろうとしてる。そんなの違うと思う」
…けど、あたしは…。
晴輝と仲直りした時だって、勝手に体が動いてた。
それって…好きってことじゃないの?
「よし、じゃあ俺サボるからー」
ヒラヒラと手を振りながら、行ってしまった比呂。
あ、助けてくれたお礼言ってない!
まあ、今度言おう…。
それにしても、好きな子いるんだ…。
また、モヤモヤする…。
この感じ、やだ…。

