.…なんで?
あんなこと言ったのに.…。
「晴輝.…」
屋上にいる全員が注目してる。
さすがだなって、どこか客観的に見てるあたしがいた。
「行くぞ、結衣」
無表情のままあたしを引っ張る。
「.…もう終わったじゃん」
「あ?」
「別れたのに.…なんで.…」
「あー、もう.…あんなので別れるとか、俺は認めないから」
「.…っ」
「じゃ、こいつ連れてくわ」
理斗くんびっくりするよね.…。
ごめん.…。
びっくりしすぎて、固まってるし.…。
お弁当だって、くれたのに.…!
でも、ここで晴輝について行かなかったら、その方が気まずくなって、理斗くんに悪いよね。
ここは、大人しくついて行こう。
我ながら、いい判断だと思う。
.…それにしても.…こんなに怒ってる晴輝は初めてかも。
確かに、あんなこと言ったんだから.…怒るよね。
そのまま、晴輝は無言で歩く。
前もこんなことあったよね.…?
その時の晴輝も怒ってた。
また、なんかされちゃって、ドキドキしちゃうのかな.…
そんなの、なんか悔しい!!
「ま、待って…!」
「…」
「……待ってよ!!」
「…なに」
やっと止まってくれた…。
「何でそんな怒ってんの…?怖いよ」
「……あいつ、理斗じゃん。なんで一緒にいんの」
「…友達だもん…一緒に食べよって言われたし…」
「弁当、あったわけ?」
「っ!……ないよ…」
ないに決まってるでしょ!!
だって、晴輝が毎日作ってくれてるから。
最初は普通に購買で買ってたんだけど、晴輝が「俺が作りたいだけ」とか言って、作ってくれる。
手作りだよ?!
すごいよね〜。
なんて、思ってる場合じゃなくて…。
「理斗くんが分けてくれたから、大丈夫だった…」
「そんなことしなくても、俺が持ってきてる。てか、毎日食べる約束してたじゃん」
「だ…だって、別れたのに…」
「は?……あれ、本気?…」
晴輝は、切なそうにあたしを見てる。
そんな苦しそうな顔で見られたら…あたしがひどいことしたみたいじゃん…。
「結衣は、俺と別れたい…?」
晴輝があたしから一歩離れる。
なんだか、寂しくなった。
とっさに、あたしは晴輝に抱きついた。
「…っ?!結衣?!ちょ…」
「…そんな…」
「え?」
「そんなこと聞かないでも分かってよ…バカ…」
頭で考る暇がないほど、体が勝手に動いてた。
ほら…。
あたしやっぱり好きなんだよ。
晴輝のこと。
「…はあぁ」
…?!
ため息?!
晴輝は別れたいの?!
「ずっる……そんなことされたら、また俺ばっか好きになんのに…」
頭をかきながら、うつむく晴輝は告白された時と重なって見えた。
なんだか守りたくなった。
「いいじゃん…好きになれば」
「ぷっ…ひでー女…」
「…あたしも好きだよ…」
「…?!///」
耳まで真っ赤になった、あたしの彼氏。
大好きだよ。