「あ、おはよ。佐倉」
朝、おれと結衣が教室に入ると、話しかけてきたのは、木村だった。
梨里たちはもう来てるのに、結衣の様子を伺っているようだった。
何考えてんだよ…?!
あ……そーだった…他の男子とも話してみるんだったな…。
って、結衣が他のやつと話してるのを黙って見れるよーな大人じゃねーよ!
俺は!
我慢できなくて、結衣を連れて行こうとしたけど、沙里がとてつもなく怖い目で見ていたから、俺だけおとなしく席についた。
すると、梨里たちがニヤニヤしながらやってきた。
「よく耐えた、えらいよ」
「…自分でも、こんなに大人な対応がてきるなんて感心したよ…」
「自分で言うな、キモ」
「毒舌すぎねぇ?!」
梨里たちと一緒に、結衣の方をみる。
楽しそーに会話してる。
「山崎と別れたんだって?結構、噂になってるぞ〜」
「え?!…まあ……ホントのコトなんだけどね」
「しかも、振ったんだろ?!なぜに?!」
「……わかんない…」
「え、なにそれ」
「まあまあ…あ!梨里たちだ!話しかけてくれて、ありがとね!木村くん!じゃあ!」
「あっ…!その…………っ結衣!待って!」
木村は、こっちに来ようとした結衣の腕をつかんだ。
はあ?!
何呼び捨てしてんだよ!
しかも、結衣は行こうとしてんのに、止めんなよ!
「ん?どしたの?」
うっわ…。
さすが、鈍感…。
たぶん、呼び捨てされたの気づいてねーだろ…。
「昼さ、一緒に食わねえ?」
「え?うん…?いいよ?」
「じゃ、じゃーな//」
…待てよ。
あんなに積極的にアタックしてるのに、木村の気持ち、気づかねーとか。
不安すぎるんだけど…。
「はぁ…」
ほんとに、ため息をつくことしかできねー…。