ピリリリリ…カチッ
止める前に目覚ましは止まった。
その代わりに聞こえてきたのは
可愛らしいダミ声
「いい加減おきたまえ。女。」
凛とした姿勢で威風堂々と
私の上に乗っていたソレは
荒々しい口調でそう言った。
私はとっさに判断した。
「夢か」
昨日の部活で相当疲れたんだろう。
せっかくの土曜に
目覚ましをかけるなんてこと
するはずがないし
そもそも…
「起きろと言っておろう。女。」
私はもう1度布団からソレを覗いた。
真っ黒い毛、長いしっぽ、
ツンとした耳、透き通るような青い目。
逆光でよく形度られたソレは
まさしく猫そのものだ。
私は深いため息をついた。
「猫が喋るのは夢の中だけ」
と、一言つぶやいて
再び顔まで布団に潜った。

