私が陽菜君に電話したのは
学校を出て三十分くらいした時だった。

《どうした?》

電話口で私の焦りに気付いたのだろう。

《陽菜君、今何処にいる!?》

切羽詰まった声が出ていた。

《本当にどうした?》

落ち着かせようと
してくれてるのがわかる。

《皇君が拉致されたの❢❢》

それを告げながら犯人のあとをつける。

《お父さんには連絡したけど
直ぐには来れないだろうから
私が皇君を助けに行ってくるから❢❢》

お父さん警察官だから
護身術は身につけた。

《寿美礼、お前、女の子なんだぞ》

友人の私を
女の子扱いしてくれて嬉しいけど
今はそんなことはどうでもいい。

《心配ありがとうね
だけど、大丈夫だよ❢❢
かすり傷くらいはできるかもだけど
皇君は絶対に取り返すし、
死んだりしないから》

そんじょそこらの一般人に
負ける気はない。

《あのなぁ寿美礼……》

陽菜君が何か言おとした時
皇君を見つけた。

電話を切り、気配を消して近づいてみると
皇君が複数の男達にヤられていた。

近くにいた男を蹴り飛ばしたことで
周りは私に気付いた。

三人がかりで来るのを全て倒した。

「寿美礼❢❢」

呼ばれて振り向くとお父さん達がいた。

皇君には私の上着を着せてある。

「一人で倒したのか?」

見ればわかるでしょうに(苦笑)

その後来た救急車に皇君を乗せて
私も付き添いで乗った。

《白濱総合病院だよ》

陽菜君に
事の経緯を話した後、
病院名を告げた。

数週間後、犯人は鍋縁真未だと判明した。