やべー遅刻する!!!
俺こと篠田遥(シノダハルカ)は通学路をウサイン・ボルトの足になって走っていた。
.....うん、さすがにそこまで速くないかも。
今日は高校の入学式。
絶対遅れないように、早く起きた。
それなのに!!
準備が1通り終わったところで、兄のワックスが目に入ってしまったのだ。
俺の好奇心こんちくしょう!!
時間もあるし、と思って雑誌とかに載ってる男子のように髪型を整えてみようとしたのが間違い。
初めてでそんなうまくできるはずもなく、俺の髪はバリバリ若手サラリーマン風七三分けになった。
いやいやなんでこうなった!?
結局シャワーを浴びて乾かしていたらいつの間にか時間はすぎ。
今に至るというわけだ。
一緒に行く約束をしていた幼なじみの富岡大和(トミオカヤマト)にはかなり待たせた後先に行ってもらったが、LIMEに怒りのスタンプが大量に来ていた。
今度なんか奢ろう......。
「ハル!待ってー!!」
そんなことを思っていると後ろから名前を呼ばれた。
大和と同じく幼なじみの佐々木梨花(ササキリカ)だ。
トレードマークのツインテールを揺らしながら猛ダッシュで走ってくる。
『いや待ちたいけど遅刻寸前なんだよ!!!』
「うん、あたしも!」
うん知ってる。同じ高校だからな。
始まりのチャイムまであと4分。
学校までの距離は.....ああ考えないようにしよう。
「ごめんねハルちゃんおっさき〜!」
『はっ!?おい待て梨花!!!』
梨花は足がめちゃめちゃ速い。
みるみるうちに離れ、すぐに姿が見えなくなった。
くっそぉぉおおお俺だってもう少し足が長けりゃ......!!!
そう思いながら走っていると学校が見えてきた。
よっしゃぁぁああとは教室までひとっ走りすれば間に合.....キーンコーンカーンコーン
俺はたった164しかない自分の身長を改めて呪いたくなった。