その時、たしかに俺は、心の乾きがなくなっていた。


たった、数分。


だが、俺には十分だった。





「……ナナキ、か」




なにがなんでも、あの女を手に入れたい。



アイツといれば、俺の乾きはきっと無くなる。



あん時の俺は、そう信じていた。
















「…何するんですか!!やめて!!」



すぐにフルネームを調べあげ、部下たちに連れてこさせた。


俺を見た時のあいつは、完全に怯えていた。



…俺のことは、覚えていなかった。




でも、それでもいい。






「おい…俺の女になれ」





俺は気づいていなかった。


ナナキの目には、あの時の光がなかったことに。