昨日からずっと無視してたから、絶対に怒ってる。 …行かなきゃ。 「おい…どこ行くんだよ」 バーを出ようとしたあたしに、レイが言う。 低くて、少し大きくて、でも心配そうな声で。 「…別に。アンタには関係ないでしょ」 「……泰雅か。なんであんな奴のところへ戻る」 あたしだって…。 あたしだって戻りたいわけじゃない。 でも、この街にいる限り、あたしに自由はない。 「……生きるため」 レイに聞こえないような、小さな声で呟く。 そう。 生きるため。 ただそれだけ。 あたしは、走ってバーを出た。