だけど、喧嘩は超強いらしいんだ。


この学年で一番強く、ボスって呼ばれることもあるみたい。


…そんな風には見えないけどね。



「…なぁ?なんで今朝、春宮令と登校してたんだよ」


「え?」


春宮…れい…?


「…あぁ、あれね。っていうか、レイのこと知ってるの?」



「バッカ!!春宮令のこと知らない奴なんて、この学校にはいねぇよ」


「ウソ…」


そんなに有名だったの?


あたし、全然知らなかったんだけど。



「まさかお前…知らなかったのかよ」


「興味なかったしね。んで?どういう人?」


涼介は呆れた目であたしを見てから、ため息をついて話し始めた。




「春宮令。高3で何かと話題の男だよ。あんま喋らねぇし、授業はサボってばっからしいから、詳しいことは分かんねぇ」


「ふーん…」


高3…って、あたしの1個上じゃん。

先輩だったんだ。



「ただ、去年の夏、イケメンで調子乗ってるって、3年の剛林 力が喧嘩ふっかけたんだよ」


「剛林って、3年で一番強いって言われてる、あの?」


一度、カツアゲしてるとこを見たことがあった



とりあえず、ゴツくて体が大きい男。



「あぁ。…けど、シメに行ったはずの剛林が、血だらけになって帰ってきたらしい。どんな刃物を使ったって、普通の人間じゃ剛林には勝てないはずなのに」



血だらけ…。



「未だに、“春宮レイは暴力団を使った”とか、いろいろ噂はあるけどな。まぁ、イケメンだし?普通にしてりゃ、危害を加えることもねぇみたいだから、女子は勝手に親衛隊を作ってるみたいだ」



ううん…。


多分、暴力団なんて使ってない。



レイが一人でやったんだ。