ブォォン…



店を出てから、約五分。


今は川岸を走ってる。


「…平気か?」


「…うん。…えっと…」


「春宮 令。…レイでいい」




って言われても…。






一応、拉致られた身なのに、そんな軽く呼んでいいのかな?



…まぁ、いいや。


ていうか、この人たち…。


本当にあたしをどうしたいのか分からない。


抱きまくら…は、まぁ、絶対冗談でしょ?


それに、仲間って…。


「……ねぇ。あたし、あんたらの仲間になるつもりはないんだけど」


「………。」



返答なし。


え…まさかのシカト?


「ねぇ、聞いてる?朝の事、どういう意味?」


「………。」





へぇーーー…。


完全に無視ですね。


さっきは自分から話しかけてきたのに?


会話が成り立たないし。



「…戻りたいか?泰雅のところに」


そして、急に話しだす。


…自由すぎるでしょ、この人…。



「…戻りたいわけないじゃん。あいつにとって、あたしは道具なんだから」


まぁ、だからといって黒桜に入りたいわけじゃないけど。



「……ふーん…。…そろそろ着くぞ」