グィッ 「痛ッ…」 ロン毛メガネが、あたしの顎をつかむ。 「んで?どーするんですか、クロ。この子は」 「……ん」 その場にいる全員が、黒と呼ばれるタトゥーの男に視線をうつした。 …はっ!! 確か…ドアの鍵は開いたままだったはず。 逃げるチャンスは今しかない!! ガブッ!! 「痛ッ!!」 メガネの手をかんで、顎から手が離れる。 …よし! 手錠をしたままドアまで全力疾走! ドアノブまで、あと数センチ…!! 「まずい、逃すな!!」