ーーこれは蝉の声が鳴り響く暑い夏の日の話ーー

私、相成 奏兎は今、最高に焦っていた。
それもそのはず、いつもは8時には着くはずの学校にまだ着いていない、
いわゆる遅刻というやつだったから。
おまけに、よりによって今日の1時限目は裏で鬼と称される原井先生。
これは何としても点呼が始まる前には学校に着かなければーー
そう思い、より一層速度を上げる。
汗で制服が張り付いて何とも言えない気持ち悪さだ。
やっと学校に着き、靴を下駄箱にしまい、上履きで階段を駆け上がる。
しかしやっと上までつこうとした時、そこには原井先生が。
驚くいて、思いっきりつまづいてしまった。
次の瞬間、体が宙に放り出された。

「相成さん!?」