「あのっ、ずっと前から好きでした!
付き合ってください」
瞼に力を入れ、ぎゅっと目を瞑ると
差し出した手が震えていることに気づく。
この日も、太陽がジリジリと夏を
指し示すかのようにアスファルトを
照らしていた。
蝉の掠れた鳴き声の中に混じって
かすかに笑い声が聞こえる。
「ごめん。俺、お前みたいなのが
告白してくるなんて思ってなくて」
次第に大きくなる笑い声。
私はこみ上げてくる恥ずかしさと屈辱で、一刻もはやく逃げ出したいという気持ちで
いっぱいだった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…