「あのっ、ずっと前から好きでした!
 付き合ってください」



瞼に力を入れ、ぎゅっと目を瞑ると
差し出した手が震えていることに気づく。


この日も、太陽がジリジリと夏を
指し示すかのようにアスファルトを
照らしていた。


蝉の掠れた鳴き声の中に混じって
かすかに笑い声が聞こえる。



「ごめん。俺、お前みたいなのが
 告白してくるなんて思ってなくて」



次第に大きくなる笑い声。


私はこみ上げてくる恥ずかしさと屈辱で、一刻もはやく逃げ出したいという気持ちで
いっぱいだった。