今日は、始業式。
高校2年生になったあたし、中島 葵は、クラスわけの紙を暗い気持ちで見ていた。
一年のときに仲良かった友達はみんな違うクラス。予想していたことだけれども、少しの期待が崩れ去る。
教室に向かってみんな歩いてゆく。
友達ちゃんとできるのかな、とか不安しか頭に浮かばない。
ガラッ
入ると、また新しいメンバーでの日々がはじまるのだと実感できる。
「あ、やっと、俺の隣きた。」
隣の席は・・・・すごく顔が整ってる男の子。女の子がよかったな、なんて。でも、すごくかっこいい・・・・。
じーっと顔をみつめていると、おかしそうに笑って、彼は
「なんだよ。俺がイケメンだからってそんなに見んなって。」
無邪気に笑いながら言う彼。
「みっ、見てないよっ!!イケメンとか自分で言っちゃうんだね・・・。」
少し引いた目で見ていると、彼はぶはっと笑った。
そんなに笑われるとは思わなくて、ふと口元が緩む。
「俺ってイケメンじゃない?」
ふと聞かれたその質問に、あたしは考えて
「え・・・・。イケメン!」
って、笑いながら言った。だって、かっこいいと思うよ、あたしは。それに、話しやすくて、緊張していたのがあっというまに消え去ったから少しだけ感謝。
「ありがと。オレ、元1年2組の柴崎 太陽!よろしくな!」
太陽くん・・・・・。人って名前で人柄がきまるってよく言うけど、確かにそうだと思う。太陽みたいだもん。
「あたしはっ、元1年4組の中島 葵!よろしくー!」
そういって笑いあうこの瞬間に、あたしはなにかがはじまる予感がした。




「ねえ、中島さん、柴崎くんとさっき話してたよね?どんな話したのー?」
あたしは気づかなかったけど、一年のときから太陽くんの人気は凄かったみたいであのあと、女の子に同じような質問をよくされる。これも一応、会話のきっかけになるわけで。また少しだけ、太陽くんに感謝。
「太陽くんがイケメンかどうか話してたんだよ」
って笑いながら言うと、女の子たちは「え、普通にイケメンだよねー」ってみんなではしゃいで言う。
「中島さん、下の名前、なんていうの?」
笑顔でそういう相手にあたしは精一杯の笑顔で
「葵!」
って言った。このクラスがいいクラスになるんじゃないかな。なんて淡い期待を抱いてあたしは席についた。



「なぁ、葵。」
はやくも呼び捨ての太陽くんに、少しとまどいながらもあいまいな返事をする。
「・・・・、え?」
「今度、クラス会やるんだけど、くる?」
「え。」
少し緊張した様子で聞いてくる彼に驚く。だって、あんなに強引でうるさいのに、そんなことで緊張するなんて。
「緊張してる、?」
なんて少し意地悪をしてみたくなるもので。返事がわからないものは怖いのかなって思った。あたしもそういうのは嫌い。断られたらどうしようとかいろいろ考えてしまうから。
「緊張なんかしてねぇよ。くるよな?な?はい、決まりー。」
なんて強引だね、キミは。
「うん、いく!」
キミの笑顔は太陽みたいだ。 見てる人を笑顔にする。
「やった」
笑顔がかっこいいねなんていったら調子のるかな?
「かっこいいね。」
小さな声でつぶやいた。
「え?」
まぬけな顔でこっちを見る太陽くん。
「ばーか」
幸せってこんなにも簡単に、一日で作れちゃうんだね。