大樹へと続く道もとうとう妖怪が住む『邪の通道(とおどう)』まで来た。
「妖怪……いないな」
「珍しいな…一匹も見当たらないなんてよ…」
「うーん……」
そんな事を話ているうちにカサカサっと草むらが音を立てた。
「いるの!?何があったの!?私は巫女!妖怪達よ…何があったか教えて下さい!」
「……風鈴…」
「……人間に教えることなど無い」
「巫女は我等妖怪の敵」
「そんな存在に教えて何がある?」
「何か変わるの?」
「……私は、確かに妖怪を退治してきた。でも、それは悪い妖怪…貴方方はいい妖怪じゃないのですか?」
「…」
途端に声が聞こえなくなり、木々が音を立てるだけとなった。しかし、すぐに黒い影が現れた。
「確かに…我等は人に害を加えたことが無い」
姿がどんどん明白になっていく。
「でしょう?」
「今起こっている事…といったな……」
狐の耳…手……その他は人と同じ。
「狐?」