「目覚めよ巫女……」
「…」
「目覚めよ…。目覚めの時がきたのだ……」
「うぅ……。ここは…?」
そして、男と女の声が混ざった声を聞き私は目を覚ました。
「我の世界…いや、我と巫女の世界」
「…」
「記憶がない訳では無いだろうな」
「…記憶はある。だが……」
「これまでの経緯話しておこう……」
「頼む……私はどれくらいの期間眠っていた?そして、願い玉は……」
「では、願い玉から話そう……。巫女が妖怪に敗れた後願い玉は巫女…そなたの願いを叶え世界へと消えた……」
「私の願い……だと?」
「ああ。だが、これは我の推測である」
「私の願いはただひとつ……『世界に生きるもの全てが平等となる』これだけだ」
「その願いかは定かではないが……」
「変化があったのか!?」
「この世に…他の木とは比べものにならぬ程大きな木が現れた。この木を皆は大樹ソリューショアと呼んだ」
「大樹…ソリューショア……か」
「そして、この世界と繋がっている……いや」
「どうした?」
「繋がっているというより、木の中といった方が良いだろう。そして、この中は我と巫女しか入ることが出来ぬようなっているようだ」
「そうか……。願い玉は何処へ!?」
「先ほど言ったようにあまりわからぬ……世界へと消えたが妖怪には渡らぬだろう……」
「私の力か……」
「ああ。それが作用しているらしい……だが、人へと渡ってしまったようだ。そして、大樹ソリューショアが出来たことで世界が変わり出している…そして、願い玉の力が大きくなりつつある」
「それは良い意味でか?それとも」
「悪い方だ。着実に願い玉は私欲のある者の願いを叶えている…願いと引き換えに負を取り込んでいるようだ」
「……なんだと。早く止めねばならぬ!」
「今、足掻いたところで何も変わらぬ。世界は……今、巫女を必要としておらぬ……」
「私をか!?」
「ああ。願い玉により……な」
「私は…願い玉に何を願ったのか……」
「そして、巫女に提案だ……。巫女は今の世界へ行き、願い玉を回収する。そして、願い玉を大樹へと流し込む。そうすれば願い玉はもう人へと渡らず我たちで保管する事が出来る」
「そうだな……」
「世界の状況を教え後すぐ送ろう……」
「感謝する……一刻も早く回収せなばならない!」
「今は巫女が死におよそ100年経つ……」
「そんなにもか」
「ああ。そして、巫女の血を受け継ぐ者も存在すると聞く」
「私の……」
「その者達は巫女が亡き者になった頃の話から受け継ぎ、願い玉の事も知っている…だが、その恐ろしさは当時なく願い玉の回収をもしていない」
「……」
「巫女が今の地で慣れるのにも名を変えよ……」
「なをか?」
「ああ。昔の巫女は死んだ。今、目が覚めたのは大樹が必要とした為だ。つまり、新たな命だ。だから、名を」
「奏響音 栞音(そうきょうおん しおん)だ」
「……栞音か。行け!世界はいずれ理解も出来る!」
「ああ!」